今年5月の「猫の恋」写真展で、特に印象に残ったのは「このままでは和猫が絶滅危惧種になってしまう」という話でした。街の中を自由気儘に生き、恋をし、子を生み、老いて逝った猫の姿を私たちはもう見ることはないでしょう。保護された飼い主の居ない野良猫には去勢手術を施し、一代限りの命を全うさせることで人間との共存を計ろうとした結果です。 今回の「猫の恩返し」の写真は1980～90年代に撮られた猫たちです。懐かしい街の風景も合わせて見ていただけたらと思います。幸運にも「すみだ向島EXPO 6」参加の写真展となりました。地域の方々との新たな出会いの場になれば嬉しく思います。オーナーの高島史於さん、御家族の皆様に心から感謝申し上げます。

遺族代表 姉・阿部利江

第一弾写真集『猫の恋』では掲載しきれなかった猫たちを、どうしても本にして残したいと考え、第二弾『猫の恩返し』を発行することにしました。 猫の恋は俳句の季語でしたが、猫の恩返しは落語のお題目です。新たに東京下町の歴史の一部をまとめた文をあべゆきえさんのイラストとともに掲載しました。移りゆく時代、移りゆく街の記録として後世に残すことができとても嬉しく思います。